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このせつ長編「未来 9」
今回は刹那、木乃香は学校卒業後就職しているというパロディ的設定です。
OKだぜ!
まあ、暇だから読んでやってもいいよ。って心の広い方は続きを読むからお願いいたします!

・・・超遅筆すみません(汗)


このせつ長編「未来 9」
明け方のオフィス街は嘘みたいに綺麗だった。
同じ都会でも、時間帯によって表情が大分違う。寝起きの都会はコンクリートがひんやりとしていて、静かで。昼間の顔ばかり見ていると、ガツンと殴られたような衝撃を受ける。人も車もどこに行ってしまったのか。誰も居ないコンクリートジャングル。
存在する理由を奪われたかの様な場所。だが、とてもきれいに見える。







エレベーターホールを抜けて、27階のひときわ仰々しいドアを開くと、目の前には上司が座っていた。

「・・・・・今日は少し早くないか?」

ぽそりと、いたずらが見つかったような声で彼女がつぶやく。

「福社長こそ・・・。」

龍宮はいじっていたパソコンから手を離し、肩を上げて下ろしてから伸びをし始めた。
うーん、と伸びをしながら出す声が無防備で、口元が緩んでしまう。
おそらく昨日からここで仕事をして過ごしていたのだろう。
私を先に帰宅させたのは、きっとそのためだ。

「ばれたか。」
「ええ。偶然にも。居残りするならウチに一言かけて下さい。」
「嫌だよ、近衛は居残りにつきあってしまうからな。」
「何のための秘書だと思っているんですか・・・・こんなに有能な秘書を毛嫌いするなんて、たつみーも罪なお人や。」

冗談口調で、頬に手を当てながら言うと、福社長は‘はぁ’と、大げさな溜息を吐いてよこした。

「片付けなきゃならん件がな。・・・・しかし、こんなに早く出社しても給料は変わらんぞ?」

そう言ってから彼女はにやりといつもの笑みを浮かべて、顔をあげた。
この時、彼女は今日初めて私を正視した。

「・・・・なんか、顔がいつもと違うな。」
「え!?」

龍宮は視線をPCの画面に戻しながらの言葉だった。
その返事としては少し大きすぎる声を出してしまった。

「え、あ、いや、ごめん。化粧がいつもと違う気がして。」
「・・・・・。」
「いや、綺麗だと思ったんだ・・・・って、何かあったのか?」

彼女はそう続けると、私に視線を戻してきた。たぶん、いつもは軽口で流す話なのに、私の思わぬ反応に驚いたのだろう。

「・・・土曜にせっちゃんとデートの約束してるからその練習なんよ。」

言った傍から自分でも驚いた。
昨日・・・正確には今日の夜。あんな別れ方をしたばかりなのに。

「・・・あーあ、はいはい。お綺麗ですお嬢様。」

それでも、この発言はいつもの私の冗談で済ませたようで、龍宮は普通に返してくれた。
何度も重役を相手にする仕事でよかった。
きっとこの仕事についてなかったら今の笑顔を作ることなんてとっさに出来なかっただろう。
・・・・そして、泣いた顔を隠す化粧の技術も。

そのままお茶を入れる名目で給湯室に逃げることにした。
嘘をスナイパーの彼女の前でつき続けることは無理だからだ。
そのまま自然に見えるようなるべくゆっくりと副社長室から出て、扉を閉めたところで早足になり、給湯室に向かった。
湯を入れることが目的のこの部屋は勿論狭い。人が二人が立つと、もう息苦しくなる。
並々と必要以上に水を入れたやかんに火をかける。お湯が沸くのは遅くなるが、少し落ち着きたいと思った。
ステンレスの台に、自分の顔が一つ。ゆがんで映っている。
一人きりの空間になったことで、なんだか力が抜けた。

(・・・・それにしても、さっき言ったことは・・・・。)

いつもの軽口といえばそうだ。私が言いそうな言葉。
しかし、今はいつもとは違うのだ。
龍宮の言葉に深い意味はなかったのは容易に分かるし、いつもの軽いじゃれあいの会話だった。
だが、‘そうやろか?’‘たつみー視点がオヤジや’とか。いつもなら出てくる軽い言葉がうまく出なかったのだ。
口を開いたまま立っていた。その事実に気付いて軽い混乱を起こし、とっさに言った言葉が‘刹那とデートするからその練習’。

自分が刹那に会いたいという想いがふと漏れたのだろうか。
・・・・いや、今はどちらかというと会いたくない。
彼女が私を追いかけなかったこと、その答えが出てしまって私はこの気持ちを捨てなくてはならないという事実を目の当たりにすることになる。

でも、彼女が隣にいてくれないのは嫌だ。嫌なのだ。
そう、今ならまだきっと大丈夫。次に会った時に、きちんと言えれば。
また、いい友達関係は保てるはず。

・・・・・・・ただの願望だ。理想だ。

明け方の公園で自分が出した結論をどんどん否定していく。
だって、都合のいいようにしか考えられなかった。
あそこから、家に帰って、会社に来るには、それくらいの思い込みがないと。

彼女が自分の中から、彼女の中から自分が消えてしまうのが怖い。
もう、関係なんて嘘でもいい。表面上の友情でかまわない。
何であんなことをしてしまったんだ。
何で。
傍にいられれば・・・・・私は・・・・。

きっと、彼女は私が友好関係を持ちだしたら、首を縦に振ってくれる。
優しいから。
それに。私は彼女の主だから。
だから、こんな甘い幻想を抱くことができる。
それは本当にいいことなのだろうか?彼女にとって、苦痛になるであろうことを、また、させてしまうのだろうか?
結局私はお荷物だ。

さっきのデートという言葉、あれは私の幻想。未だ強く関係が結びついているということ。





「・・・何暗い顔してるんですか。」

聞き覚えのある声に反応し顔をあげると、大崎さんが立っていた。
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2008/05/19(月) 00:22:18 | 楓の箱リロLive対戦日記
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